玄善允の在日二世物語ー在日、大阪、済州そして・・・ー

済州出身の両親の次男として大阪で生まれ育った在日二世の呟き

2026-01-01から1年間の記事一覧

市立図書館で初めて借りた書物―水上勉の作品などに導かれてー(3)

市立図書館で初めて借りた書物―水上勉の作品などに導かれてー(3) 4.『五番町夕霧楼』の佐久間良子 話を元に戻そう。だから、僕と「五番町・・・」、そしてその主演の佐久間良子との遭遇は、特定の映画館が僕にもたらしたものにすぎず、映画や俳優の評判…

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(4)

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(4) 済州4・3事件に関する未体験世代の表象 ─済州での予備的インタビュー調査─の(4) 第5章 インタビュー内容の分析・考察の (2)─文学的表象と未体験世代の事件表象 本章では、4・3を一…

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(3)

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(3) 済州4・3事件に関する未体験世代の表象 ─済州での予備的インタビュー調査─の(3) 第4章 インタビュー内容の分析・考察の (1)─4・3による被害、タブー としての4・3、4・3との出…

市立図書館で初めて借りた書物―水上勉の作品などに導かれてー(2)

市立図書館で初めて借りた書物―水上勉の作品などに導かれてー(2) 3.子供時代の自宅から徒歩圏内の映画館 1950年代末から1960年代の中盤まで、我が家からの徒歩圏内でも相当数の映画館があり、その中でも足しげく通った阪急三国商店街だけでも映画館が4…

市立図書館で初めて借りた書物―水上勉の作品などに導かれてー(1)

市立図書館で初めて借りた書物―水上勉の作品などに導かれてー(1) 1.はじめに まずは、お詫びも兼ねてのお断りです。 この「はじめに」は、既にこのブログのカテゴリー「近況その他」の3―「心機一転のための現況3」―の最後の部分である「(2)公立図書…

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(2)

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(2) 済州4・3事件に関する未体験世代の表象 ─済州での予備的インタビュー調査─の(2) 第3章 インタビュー内容の紹介─1960 年代以降に済州に生まれ育った6 人の女性の事例─ 1)インタビュー…

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(1)

「僕にとっての4・3被害者遺族補償シリーズ」の参考資料(1) 本シリーズに関連して、4・3に対する僕のスタンスをもっと分っていただけるのではないかと、10年以上も前に発表した論文もどきを数回に分けて紹介します。勝手な理屈ばかりで、読みにくいかも…

僕にとっての4・3被害者遺族補償(5)

僕にとっての4・3被害者遺族補償(5) 12.被害者遺族の資格なんて、はたして僕らに… 僕ら兄弟は、4・3の犠牲者遺族としての補償対象者であることを、公的(法的)に認められている。そのことは申請を行った結果なのか、或いは、申請をしていなくても、…

子供だった頃の僕らの目に映った家(両親)の交友(1)

子供だった頃の僕らの目に映った家(両親)の交友(1) 目次 1.はじめにー僕らの実家もついに・・・ 2.実家の付き合い―日常篇 3.実家の付き合いー日常と非日常のはざま篇 4.実家の付き合いー日本国内からのお客篇 5.実家の付き合いー済州や、その…

僕にとっての4・3被害者遺族補償(4)

僕にとっての4・3被害者遺族補償(4) 7.4・3犠牲者遺族補償申請と僕らの自意識-資格に関する覚束なさー 僕ら兄弟は済州4・3についても、その後の真相究明運動についても、さらにはその成果の一つとしての犠牲者遺族に対する補償などについても、詳…

僕にとっての4・3被害者遺族補償(3)

僕にとっての4・3被害者遺族補償(3) 5.領事館の4・3被害者遺族補償の申請窓口 本文のタイトルに掲げた用件のために、駐大阪韓国総領事館を訪れることになった。西神戸に住む僕には、在外公館としては神戸領事館の方がはるかに便利だが、4・3絡み…

僕にとっての4・3被害者遺族補償(2)

僕にとっての4・3被害者遺族補償(2) 4.領事館のサービスの変化 よくよく考えてみれば、領事館で僕がついつい激高してしまった事件、つまり、窓口の職員が在日一世の高齢者夫婦に対して無礼を働いたことについては、職員にはまったく同情の余地などな…

僕にとっての4・3被害者遺族補償(1)

僕にとっての「4・3被害者遺族補償」(1) 1.はじめにーお詫びにかえてー 既に数か月前に、この一回目をブログにアップしたような、朧げな記憶があった。しかし、その記憶が信用ならないので、念のために過去のブログを確認してみたところ、その痕跡な…

「近況その他」の3―心機一転のための現況3

「近況その他」の3―心機一転のための現況3 4.今後の生活について 1)実家の消失-自立した余生に向けて 上でも触れたことだが、僕ら男四人と女一人の五人の兄弟姉妹(こんな場合にぴったりの単語を思いつかない。兄弟姉妹でよいのかどうか自信がない。…

「近況その他」の2―心機一転のための現況2

「近況その他」の2―心機一転のための現況2 3.書き物の近況 まずは、僕の生活の半分くらいの比重を占める趣味であり生き甲斐でもある書き物の現況を整理してみる。 人生最後の刊行物と決めていた『ある在日少年の原風景 大阪キタの一九五〇-六〇年』(同…

「近況その他」の1―心機一転のための現況1

カテゴリー:「近況その他」の創設 「近況その他」の1―心機一転のための現況1 1.はじめにー新カテゴリーの創設についてー 何か少しでも新しいことを始めて、心機一転を目指さないと心身がもたない。そんな気持ちがいつからか、僕の固定観念になった。と…

金源一の「父の国」の6

金源一の「父の国」の6 しばらくすると、犬の茹で肉とスープとご飯が供された。茹で肉の一切れを塩につけて食べてみると、柔らかく淡泊な味だった。北朝鮮式の焼酎であるヨモギ酒が供されたので、それを孫先生の盃に注ごうとしたところ、酒は嗜まないと固辞…

金源一の「父の国」の5

金源一の「父の国」の5 ひどく苦労したという父の回顧の中には、1年6か月にわたる生死の峠を越えるパルチザン生活も含まれていた。50年9月26日にソウルの指導部がソウルを明け渡し、最終的に後退する際に、北上する金ウンビン部隊は春川地域で南労党の副責…

「生き残った者の祝福」の6

「生き残った者の祝福」の6 187頁 5 昼食時間が過ぎて、党の済州島本部の常任委員会が、明道岩の一軒家にある遊撃隊臨時司令部のアジトで開催された。 党の済州島本部は、強力な闘争を展開するために、7月中旬に改編された。常任委員会よりは軍事部を強化…

金源一の「父の国」4

金源一の「父の国」4 「金氏(父のこと)の療養所生活が長くなると、家族も江原道に来て、療養所の近くで暮らすようにした。当時のコソン?郡の人民委員会の副委員長が金海出身の人だったので、越北する以前から金氏と親しく、ソガンサ?療養所近くに家を確…

金源一の「父の国」の3

金源一の「父の国」の3 ホテルに戻ると、夕食まで時間的余裕がたっぷりあったが、ホテル外での自由な行動は許されない代わりというわけか、ホテル内に限っての自由時間を与えられた。ホテル二階に書店があると言うので、どんな本があるのか立ち寄ってみるこ…

金源一の「父の国」の2

金源一の「父の国」の2 韓国からの訪問団一行は、平壌市内の中心部に位置する高麗ホテルで旅装を解いた。我々を案内する北朝鮮の歓迎団はホテルのロビーで、我々一行の各自は客室で荷物をほどき、少し休息をとって30分後に改めてロビーで集合することになっ…

金源一の「父の国」1

金源一の「父の国」1 1.はじめにー韓国の小説家である金源一さん 金源一著「父の国」は、僕が敬愛していた従兄の故玄吉彦が、晩年に精力を傾注して主宰し、自らも小説、評論、そして、力がこもった長い編集後記を必ず執筆していた総合季刊誌『本質と現象…

『平和市場の少女―13歳の女工、その生』(申順愛著、李宗樹訳、同時代社刊、3300円(33pt))の刊行情報を受けて(5)

『平和市場の少女―13歳の女工、その生』(申順愛著、李宗樹訳、同時代社刊、3300円(33pt))の刊行情報を受けて(5) 9.韓国の男女関係についての僕の印象の基盤の一つとしての済州での見聞 まずは、僕の40歳半ば以来の30年に亘る頻繁な済州訪問時におけ…

「生き残った者の祝福」の5

「生き残った者の祝福」の5 4. チェボㇺは真昼になってようやく,地区司令部のアジトに着いた。高い丘の上から見張っていた隊員たちが、チェボㇺが丘に登って来るのを、遠くから目にとめて、迎えに降りてきた。 「どこへ行ってきたんだ?朝も見かけなかっ…

「生き残った者の祝福」の4

「生き残った者の祝福」の4 3. 李徳九第一地区司令官は出動準備をすべて整えると、ぐっすり眠り込んでいるチェボㇺを起こした。いつもそうだった。眠りから覚めたチェボㇺは、自分を見下ろしていた司令官と視線があうと、はっと起き上がり、横にある背嚢…

『平和市場の少女―13歳の女工、その生』(申順愛著、李宗樹訳、同時代社刊、3300円(33pt))の刊行情報を受けて(4)

『平和市場の少女―13歳の女工、その生』(申順愛著、李宗樹訳、同時代社刊、3300円(33pt))の刊行情報を受けて(4) 8.韓国社会の女性差別の改善もしくは変革に向けての法的整備 日本における韓国の男女差別に関する認識は、先にも触れたことだが、すっ…

「生き残った者の祝福」の3

「生き残った者の祝福」の3 武装闘争を決議して、その決行の日時を調整中の昨年の3月だった。李司令官は先任の金司令官とともに武装闘争を積極的に推進する立場だった。 それ以前にもチェボㇺは、学生への情報業務を担当する部署に配属されて活躍していた。…

「生き残った者の祝福」の2

「生き残った者の祝福」の2 2. 「チェボㇺ、授業がすべて終わったら、職員室に来てくれ」 3時限の「社会生活」の授業が終わり、教室から出ていこうとしていた李先生はチェボㇺを手招きして、教壇に呼んだ。はい、と返事したチェボㇺの胸の動悸が高なった…

玄吉彦著「生き残った者の祝福」1

玄吉彦著「生き残った者の祝福」 季刊誌『本質と現象』39号2015年春号 154頁から227頁 以後に40号と41号と3回にわたって連載 拙訳の紹介にあたってのお断り これから紹介するのは故玄吉彦の晩年の小説の翻訳である。彼が主宰する季刊誌に3回にわたって分載さ…